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伊藤 均
食品機械装置, 34, p.61 - 67, 1997/09
食品を放射線で処理して殺菌、殺虫、発芽防止など貯蔵期間の延長または衛生化する技術を食品照射と呼んでいる。放射線も紫外線も生物に対する作用は基本的に同じであるが、放射線はフリーラジカルの作用でDNAの切断を引き起こす。照射食品の安全性及び栄養適性については世界各国で40年以上にわたって研究されてきており、世界保健機関は10kGyまでの照射食品の安全宣言を行っており、近く70kGyまでの安全宣言を行う予定である。商業用照射施設はコバルト-60ガンマ線照射装置と電子線及びX線照射用の電子加速器が用いられている。食品照射許可国は40ヵ国になっており、許可品目は100種以上に及んでいる。世界各国で検疫処理用に用いられている臭化メチルが2010年に使用禁止になる予定であり、代替処理法として食品照射が有望視されている。また、病原大腸菌O157対策としても食品照射の応用が期待される。
佐藤 友太郎*
食品機械装置, p.73 - 78, 1975/00
1.5t容のコンテナーを用いて線量6~15krad範囲で1ヶ月10,000t照射できる馬鈴薯照射施設が48年12月高崎研究所の概念設計の下に完成し、49年1月約1万5000t照射うち約1万tを市販した。この施設は、照射棟、コンベヤ棟、管理棟よりなり、特徴とするところは、照射容量がきわめて大きく、かつ線量が6~15kradときめられ、線量均一性を2.5以内におさめなければならないことである。そのため、線源を円筒状にしたこと、その廻りを線源中心から5.5m内径をもつドーナツ状ターンテーブルを設け、その上にコンテナーをのせて照射し、両面照射を行った。このため線源利用効率は低くなったが、工場運営上はきわめてスムーズに行われた。そして設計通りほぼ照射することができた。照射コストは、照射量が予定の半分にすぎなかったためやや高いようであるが、これらを考慮すれば、ほぼ国際的な水準と大した開きがないと見てよいであろう。